深夜2時のスタート
山小屋の朝は早い。
いや早すぎる。
というか、寝られない。
前日の夕方6時半に山小屋に到着し、いそいそと7時半には夕食をかき込む。
山小屋では水は貴重品だ。飲み水も1杯のみ。ウィンナーが2本入ったカレーは美味しいものではない。
それほど腹も空いていないので、さっさと済ませて外に出る。
満天の空は、どこか遠くで雷鳴が聞こえる。
大して疲れも感じないし、気になっていた足も痛くない。
もうちょっと登れる気もするが、今は休息が大切だ。
10時には消灯だが、早めの8時過ぎには寝床に入る。
寝床といっても、ほぼ雑魚寝のような状態だ。
一人分の横幅は60センチ程度しかない。
横10数メートルの板張りの寝台があり、そこにびっしりと隙間無く敷蒲団が並ぶ。数十人がブロイラーの飼育場のように横並びに仮眠のとるのだ。
敷蒲団は10センチぐらい折り重ねて並ぶので、床の冷気は上がってこないが寝転がると背中に当たり寝にくい。
また掛け布団も同じ調子で折り重なっているので、体に布団をかけるというよりも布団同士のひだに体を差し込むようにして入る。
もちろん着替えなどできない。靴を脱いだままの状態で服も着たまま、しっとりと汚れた枕も使う気になれないので、上着のフードを引っ張りだして頭にかけた。
目をつぶっても、なかなか眠気はこない。
横で寝ている嫁も、静かにしているが寝付けないようだ。
それでもうつらうつらとしていると、時間がゆっくりと過ぎて行く。
何度か目を覚ましつつも、ぼんやりとした頭で山頂に想いをはせてみる。
あと少し。
時間にして2時間程度で、頂上だ。
早く朝にならないか。
静まり返った寝床には、誰かの寝息が広がっている。
階下の食堂あたりで、物音がする。
そろそろ気の早い登山家の準備が始まったのだろうか。
いいかげん目が覚めてきたので、そぉっと寝台を抜け出しトイレに行く。
まだ深夜1時だ。
だが、もう寝るには中途半端な時間なので、そのまま階段でボォ〜としていると嫁が起きてきた。やはり寝付けなかったようだ。
しばらくすると両親も起きてきたので、準備をはじめた。
といっても、服のままで寝たのだからそのままの格好だが。
